校長通信「響きあう学校」

校長通信 響き合う学校 平成27年度入学式式辞

平成27年度入学式式辞


入学式式辞  2015.4.6

桜の花が咲き誇り、そして春の雨とともに散りつつあります。
「命 二つ 生きたる 桜かな」春は命が輝く季節です。
 本日ここにPTA会長様と保護者の皆様方のご臨席を賜り、安城学園高等学校平成27年度入学式を挙行できますことを感謝申し上げます。
 新入生の皆さん、103年の歴史と伝統ある安城学園高等学校への入学、おめでとう。
 在校生、教職員ともども心から皆さんを歓迎します。
 人間は誰でも、無限の可能性を持ってこの世に誕生しています。安城学園は人間の持っている無限の可能性を引き出すことを建学の精神として寺部だい先生と三蔵先生が私財を投げ打って明治四十五年に創立した私立の学校です。全国でも歴史の古い学校の一つで、現在では一つの大学、一つの短期大学、2つの高等学校、3つの幼稚園をもつ総合学園としてこの三河の地に存在しています。
 創立者の生き方は「真心」「努力」「奉仕」「感謝」という4つの言葉に集約され、4大精神として受け継がれています。皆さんの中に秘められている無限の可能性を引き出すために、「真心」「努力」「奉仕」「感謝」の4大精神の実践を毎日の生活の中で意識してください。それが安城学園の生徒になることであり、安城学園で学ぶということになります。
 学校法人安城学園は2012年に創立100周年を迎えました。その前年の3月11日に東日本大震災が起き、支援事業をスタートさせました。「東日本から学ぶプロジェクト事業」では昨年までの4年間で毎年200名前後の先生、生徒が宮城県、岩手県へ出かけ交流活動に参加しています。また学園祭には岩手県大船渡東高校の太鼓部の生徒が毎年来校し、演奏しています。
 被災地からの学びは皆さんの人生にとって大きな影響を与えるだろうと信じて、交流しています。
 新入生の皆さんは本校104年目の入学生になります。今までの先輩に負けないしっかりとした学びをして本校の歴史と伝統をつくり、日本の未来、世界の未来を担う人間として育っていって欲しいと願っています。
 高校生活のスタートにあたり、医師で作家の鎌田實さんが書いた「雪とパイナップル」の話をします。
 1986年、今から30年前、ウクライナ共和国のチェルノブイリで原発事故が起きました。多くの人が被災し、現在もその周辺は人の住めない地域になっています。ウクライナの北隣にあるベラルーシ共和国へも北風が放射能を運び、多くの人を被災させました。鎌田医師は医療ボランティア団体を立ち上げ、何度も、何度もベラルーシへ治療にでかけました。そこで出会ったのがアンドレイという14歳の少年でした。アンドレイは放射能が原因の難治性(治療方法が確立していない)の白血病にかかっていました。鎌田医師たちの手によって難しい手術を行い、症状は一時的でしたが奇跡的に回復しました。しかし、また食事を受け付けなくなりました。
 付き添っていた若い日本人看護士が 「何か食べたい?」と聞くと、「パイナップル」と弱々しい声で答えました。季節は冬、2月のことです。外は一面の雪。暑い所に育つパイナップルがあるはずもありません。それでも若い看護士は雪の中に飛び出して、来る日も来る日も「お宅にパイナップルはありませんか」とまちの人に聞いて廻りました。「残念だがないよ」「あれは高価な果物だもの。このあたりではめったに食べられないよ」そんな答えが返ってきました。それでもアンドレイの最後の望みをかなえてやりたいとの想いで、看護士は2月の真冬の雪の町を走り廻りました。次第に看護士がパイナップルを探しまわっているという話が町中の噂になってきました。
 そして、ある朝、病院にパイナップルの缶詰が届けられました。若い日本人が自分たちのまちの子どものためにパイナップルをさがしていると聞いて、町のある一人が缶詰を届けてくれたのです。病院中の人々、町の人々はパイナップルが届いたことに大喜びします。そしてアンドレイは家族に囲まれて嬉しそうにパイナップルを食べました。
 若い看護士の「どうしても食べさせてあげたいという想い、決意」が多くの人の心を動かし、アンドレイの命を、周囲の人の命を輝かせた瞬間でした。
 人の思いや決意が人を動かし、世の中をつくりあげていきます。新入生の皆さん、今日の入学式を節目に思いや決意を強く持ってください。
 どんな人生を送って行くのか、そのために高校3年間をどう過ごして行くのか。どんなことに挑戦し、どんな力をつけていくのか。そして毎日をどう創っていくか。自分をどう輝かしていくか。そのことを考えて下さい。
 生きる力とは自分を、人を、輝かすことのできる力のことだと私は想います。
 勉強をとことんして下さい。今までの人生で経験したことがないといえるほど3年間勉強して下さい。部活動にも全力投球して下さい。多くの人たちが全国の舞台で活躍することを期待しています。クラス活動や生徒会活動にも積極的に参加し、地域や社会と繋がる自主活動にも参加して下さい。生徒会や教科が企画するさまざまな学びにも積極的に参加下さい。海外へのホームスティも夏のオーストラリア、冬のイギリスとあります。是非、参加してみて下さい。そして何よりも3年間で本もたくさん読んで下さい。
 そのすべてが皆さんの高校3年間になり、皆さんの18歳からの人生に繋がっていきます。
 人間は誰でも無限の可能性を持っています。今の時代は難しい問題をたくさん抱えている時代です。「大人」として、重要な判断をいくつもしていかなければならない時代です。高校時代の学びが「判断する力」をつけていきます。
 命二つ。人間は二つの命を生きています。自分の命と他者の命。それぞれ別個の命ですが、自分と他者が補完し合いながら、響き合いながら生きています。
 いろいろな人と響き合って、共鳴し合って自分の命と他者の命、そして社会を輝かして下さい。“二つの命”を輝かすことに全力を尽くして下さい。
 世界から戦争や紛争を無くしていくこと、飢餓で苦しむ子どもたちが世界からなくなること、そうした思いを持つこと、行動も学びです。
 学ぶことを粗末に扱わないこと。学ぶことに全力を尽くすことを強く想い、決意して下さい。
学校法人安城学園では100周年を期して三つの挑戦を提示しています。
「第一の挑戦」とは今まで取り組んできたけれどもうまくできなかったことに再度、挑戦する。不得手なことへの挑戦です。
「第二の挑戦」とは今まで取り組んできて、うまくできたことをさらにレベルアップさせるための挑戦です。得意な分野をさらに得意にする挑戦です。
「第三の挑戦」とは今まで取り組んだことのないこと、未知の自分を発見するための新しいことへの挑戦です。
 「三つの挑戦」、「真心、努力、奉仕、感謝の四大精神」の体得とともに意識して下さい。
 私の好きな言葉の一つは「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」です。やればできる、でもやらなければ何事もできない。だからできないのは何もしてないからだ、という意味です。
 不可能の反対語は可能ではありません。不可能の反対語は挑戦です。挑戦することで必ず何かが生まれてきます。逃げないで、諦めないで、挑戦することを大切にして下さい。
 保護者の皆様、PTA、土曜講座、そして学校行事には積極的にご出席ください。安城学園は保護者も一緒に入学する学校と言われています。新鮮な学びを求めて是非、参加下さい。
 4月11日の土曜日14:30からは安城市民会館サルビアホールで保護者、地域に向けた第27次創作ミュージカル一般公演「三分後の時計」を上演します。テーマは「賢さとは」です。本校をより知っていただく機会にもなります。家族や知人を誘ってのご鑑賞を是非、お願いします。
 入学生518名の一人一人の3年間がより充実したものになることを願いながら本日の式辞といたします
                   平成27年4月6日 安城学園高等学校長 坂田成夫

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