H24年5月号
2012,05,17, Thursday(カテゴリ:-)
響きあう学校 安城学園高等学校だより 2012.5.16(水)第112号
安城学園高等学校長 坂田成夫
「響き合う学校」は毎号ホームページ上で発行します。
ふしぎ 金子みすず
わたしはふしぎでたまらない
黒い雲からふる雨が
銀にひかっていることが。
わたしはふしぎでたまらない,
青いくわの葉たべている
かいこが白くなることが。
わたしはふしぎでたまらない
たれもいじらぬ夕顔が
ひとりでぱらりと開くのが。
わたしはふしぎでたまらない
たれにきいてもわらってて
あたりまえだ,ということが。
(紀ノ国屋書店「みすゞ」より)
【今月の詩と詩人 金子みすゞさんと「ふしぎ」について】
金子みすゞさんは1903(明治36)年、山口県大津郡仙崎村(今の長門市)に生まれました。下関の書店で働きながら詩を書き、雑誌に投稿します。詩人の西条八十にその才能は認められますが、広く世間に知られるようになったのは亡くなったあとからです。
金子みすゞさんの詩には人とはちがった感性の鋭さ、純粋さ、繊細さ、みずみずしさがあります。紹介した「ふしぎ」では雨のこと、かいこのこと、夕顔のこと、いつも目にしているものだけれども、どうしてそうなのか「ふしぎ」だと書いています。
本当は「ふしぎ」だと思う心、いつまでもそんな気持ちを持ち続けることが大切です。学びの基本は「ふしぎ」だと思うこと、そんな気持ちを持ち続けたいものです。
【『抱っこの宿題』5月12日 PTA総会での挨拶】
小学校一年生の女の子が嬉しそうに学校から帰ってきた。今日の宿題は「抱っこ」だという。お父さん、おかあさん、おじいさん、ひいおばあさん、2人の姉の6人に抱っこしてもらった。
翌朝、女の子は学校へいって「抱っこ」してもらったことを先生に報告した。クラスで「抱っこ」してもらった数が多かったということで娘は『抱っこのチャンピオン』になったという。
お父さんが数日して娘に宿題をやってくることができなかった人がいなかったかどうか気になって聞いた。数人いたという。でも娘の話では担任の先生が宿題が出来なかった一人一人を「抱っこ」していたという。お父さんはその話を聞いていい担任の先生だなと思った。
アメリカで有名な幼稚園の先生を日本の幼稚園関係者が訪問した時の話です。訪問した人が驚いたのは帰りに一人一人をその先生は「抱っこ」しながら声をかけて、その後、帰していたという話です。
その先生の話した言葉です。“かわいいから「抱っこ」するのではなく、「抱っこ」するからかわいくなるのだ。”大切な指摘です。
「抱く」という漢字は手編に包むと書きます。丁寧に手で包み込んでいく、という語源です。子供たちの子育てにはそんな気持ちが必要だと心から思います。私たちもそんな気持ちで子どもたちに対応します。是非、家庭でも「抱く」というイメージで、子供たちに寄り添って欲しいと願います。
学校と家庭は車の両輪です。力を合わせて子供たちをたくましい大人に育てましょう。それが私たちの仕事です。よろしくお願いします。
【人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ】
“学校は人間が生きていくためにどう生きるかを教える場所、でもほとんどは幼稚園で教えられている”とアメリカ人の哲学者のロバート・フルガム氏は同名の本の中で書いています。著者があげていることは重要なことばかりです。これらのことができるかどうかで人生の生き方も変わってくると思います。いろいろな機会の中で教えていきたい事項です。著者があげる大切なことを紹介します。
何でもみんなで分け合うこと。ずるをしないこと。人をぶたないこと。
使ったものは必ず元の場所に戻すこと。ちらかしたら自分で後片付けをすること。
人のものに手を出さないこと。誰かを傷つけたらごめんなさいということ。
食事の前には必ず手を洗うこと。トイレに行ったらちゃんと水を流すこと。
焼きたてのクッキーと冷たいミルクは体にいい。釣り合いのとれた生活をすること。
毎日少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして少し働くこと。
毎日、必ず昼寝をすること。
おもてに出る時は車に気をつけ、手をつないではなればなれにならないようにすること。
不思議だな、と思う気持ちを大切にすること。
カップにまいた小さな種のことを忘れないように。
種から芽が出て、根が伸びて、草花が育つ。
どうしてそんなことが起こるのか。本当の所は誰も知らない。
でも人間だっておんなじだ。
金魚もハムスターもはつかねずみも、カップにまいた小さな種さえも、いつかは死ぬ。
人間も死から逃れることはできない。
子どもの本で最初に覚えた言葉を思い出そう。
何より大切な意味を持つ言葉。「見てごらん」
【本を読もう 「君と未来をつなぐ本」】
インターネットで読書週間の標語を検索していたら「君と未来をつなぐ本」という言葉に出会いました。
“子供のころに読んだ本は、大人になっても心の深いところで生き続ける”と本当に実感しています。そして本を読んだあとは幸せな気分になり嬉しくなることが多くあります。その“幸せ感!”や“嬉しい気持ち”が人間を成長させていくのだと思います。“若い時の読書はかけがえのない心と頭の栄養”になります。本を読む時間を、毎日の生活のなかに取り入れて下さい。
【『負傷者16人』素晴らしい演劇とまた出会いました。—東京新国立劇場で上演中—】
5月4日に評判の演劇『負傷者16人』を東京で見てきました。
時代は1990年代、移民を積極的に受け入れる自由の国オランダの首都。舞台はフーリガンに暴行されたパレスチナ人のマフムードと、彼を救って雇い入れるパン職人でユダヤ人のハンスを中心に展開します。
店に勤めるノラとマフムードは恋に落ちますがその展開も暗転していきます。家や親を失ったマフムードの兄弟が国際テロ組織に加わっており、マフムードにテロの命令が下されます。一方のハンスはナチスのホロコーストの生き残りです。互いに苦しむハンスとマフムードは自分の生きてきた人生をかけて激しくセリフで応酬し合います。第2次大戦下のユダヤ人虐殺、ナチスへの協力を闇に葬るオランダ人、パレスチナでのイスラエルの暴力、無差族問題、パレスチナ問題の複雑さが舞台を通して伝わってきます。結末は衝撃的なシーンで終わります。鑑賞後はやるせない気持ちになりますが現実の問題として受け止めてきました。全国公演もありますが東海地区では今のところ残念ながら予定されていません。TVでの放映を期待して紹介します。
【5月の推薦図書「ナミヤ雑貨店の奇蹟」東野圭吾 角川書店 1680円】
東野圭吾の最新刊です。すでに30万部売れているそうです。本書はガリレオシリーズでも、加賀シリーズでもありません。「ナミヤ雑貨店」を軸にして展開される心温まる人々の物語です。ページを繰るごとに一本の線で登場人物がつながり合い、奇跡のように結びついていく構成は圧巻です。東野圭吾のすごさと新しい魅力が存分に味わえる本です。
4月に実施した1年生オリエンテーションキャンプで東野圭吾の大ファンだという生徒と会いました。是非、多くの生徒や保護者の皆様にも東野圭吾の本も読んで欲しいと思い推薦します。
comments (x) | trackback (x)