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校長通信 響き合う学校 2016年6月号

H28年6月号

響きあう学校      安城学園高等学校だより 2016.6.27(木) 第157号

安城学園高等学校長 坂田 成夫     

【花の名   茨城のり子】  

  女のひとが花の名前を沢山知っているのなんかとてもいいものだよ

  父の古い言葉がゆっくりよぎる

  物心ついてからどれほど怖れてきただろう

  死別の日を

  歳月はあなたとの別れの準備のためにおおかた費やされてきたように思われる

  いい男だったわ お父さん

  娘が捧げる一輪の花

  生きている時言いたくて言えなかった言葉です

  棺のまわりに誰もいなくなったとき

  私はそっと近づいて父の顔に頬をよせた

  氷ともちがう陶器ともちがうふしぎなつめたさ

  菜の花畑のまんなかの火葬場から ビスケットを焼くような黒い煙がひとすじ昇る

  ふるさとの海辺の町はへんに明るく

  すべてを童話に見せてしまう

 

【今月の詩と詩人 茨城のり子】 

 茨城のり子(いばらぎ のりこ)、1926年大正15年)6月12日大阪生まれ。高校時代を愛知県西尾市で過ごし、東邦大学薬学部(東京)に入学。在学中に空襲や勤労動員(海軍系の薬品工場)を体験し、1945年に19歳で終戦を迎える。戦時下で体験した飢餓と空襲の恐怖が、命を大切にする感受性を育んだといわれる。敗戦の混乱の中、鑑賞したシェークスピア「真夏の夜の夢」に感動し、劇作家の道を目指す。戦後詩をリードした日本を代表する女性詩人にして童話作家エッセイスト脚本家。主な詩集に『鎮魂歌』、『自分の感受性くらい』、『見えない配達夫』などがある。  「自分の感受性ぐらい」「わたしが一番きれいだったとき」「倚(よ)りかからず」「汲む」「水の星」そして紹介した「花の名」などが私の好きな詩です。[花の名]は亡くなった父親を送った帰りの列車で出会った風景から亡くなった父を詠った作品です。2006年平成18年)2月17日、81歳で逝去。

 

【気持ちの持ち方が大切】

 6月17日、18日、19日の3日間、岐阜長良川競技場で陸上競技の東海大会が開催されました。愛知県大会を勝ち抜き、東海大会に出場した14人全員が全国総合体育大会への出場を決めました。顧問の先生方も選手の健闘を讃えていました。みんなが気持ちを合わせ、みんなで全国大会に出場するという強い思いが結果に繋がったと思います。気持ちの持ち方は大切で、思いがけない力を発揮し、思いがけない結果をだすものです。今年の総合体育大会は7月27日から中国地方の各県で開催されます。陸上競技部以外には男女バスケットボール部が県代表として全国大会に出場します。気持ちの持ち方が大切、気持ちを強く持って試合に臨んで欲しいと願っています。 【綺麗になることは楽しい】  6月23日に吹奏楽部の3人の男子生徒が校長室を訪ねてきました。掃除をやってくれるということでした。1時間弱でしたが窓や書棚のガラスをピカピカにしてくれました。“綺麗になることは楽しい“といって磨いてくれました。吹奏楽部の皆さんはよく学校内を清掃してくれますが校長室まで清掃にきたのは初めての経験でとまどいましたが嬉しい出来事でした。”綺麗になることは楽しい“という感覚は大切です。”一生懸命やることは楽しい“”みんなで喜んでくれることは楽しい“そんな感覚に繋がっていると思います。

 

【寄り添うこと 沖縄の人に私たちは寄り添っていきているか?】  

 6月23日は沖縄慰霊の日でした。沖縄では戦争が終結した日として学校を休みにして太平洋戦争末期の沖縄戦の犠牲者に鎮魂の思いを表しています。71年前に壮絶な地上戦で住民の4人に一人が犠牲になった沖縄は、戦後27年間、アメリカの施政化に置かれ、そして復帰後44年経った今も、過重な基地負担を強いられています。23日の慰霊の日の式典で挨拶した21歳の女子大生は「本土に住む皆さん、今回の事件の第2の加害者は誰ですか。あなたたちです」と訴えています。沖縄に寄り添うとはどういうことか。今一度、自らに深く問い直し、行動に移す必要があるのではないか。そうでなければ沖縄の問題は解決しないと思います(毎日新聞24日づけ朝刊記事を参考にしました)。

 

【オバマ大統領広島での演説】   

 オバマ米大統領が伊勢志摩サミット後に被爆地・広島を訪問しました。現職のアメリカ大統領が広島を訪問するという行為はアメリカ国内では反対論もあったと聞きます。そうした中で訪問したオバマ大統領は勇気ある政治家だと多くの識者が評しています。オバマ米大統領の広島の平和記念公園での演説も心の響く演説でした。「空から死が降ってきて、世界は変わった」と語り始め、「光線と火の壁が街を破壊した。人類は自らを破壊する手段を手にした」と述べ、広島に来たのは「すべての罪のない犠牲者を追悼するためだ」と表現しました。謝罪の言葉はなかったものの、悲しみ、哀悼の気持ちが全面にでていました。紛争解決には、軍事的な手段ではなく外交で臨むべきだと強調し、「私が生きている間に“核なき世界”の実現は出来ないかもしれないが、たゆまぬ努力で悲劇が起きる可能性を減らすことは出来る」「普通の人は戦争を望んでいない、科学の脅威は人の生活を奪うのではなく向上させることを目的にしていただきたい」 と話しました。演説終了後には、被爆した団体の代表の人たちに握手し、抱き合うシーンもありました。核なき世界の実現をめざすために、今回の広島訪問と演説はプラハ演説(2009年4月5日)と並んで歴史に残る演説と訪問だったと思います。

 

【仕事とは何かを考える〜日本一心を揺るがす社説より みやざき中央新聞社説より〜】

 毎年、荒れる様子がニュースで伝えられる成人式。宮崎では、中学校単位の成人式に変えて、“荒れなくなった”そうです。へ〜っ!さてある年の成人式の話。

会場にクロネコヤマトの仕事着の若者が入ってきた。1日休むとトラック1台分の荷物の配達が1日遅れる。人手も足りず、仕事を休むことができなかったということで、彼は配達の途中で式典の会場に立ち寄ったとのことだった。受付の人が「住所を書いてください。記念写真を送りますから」と言うと、「いやぁ、この格好だから記念写真は結構です」と断った。そのとき、受付の女性が言った。「何言ってるのよ!あなたが一番かっこいいですよ」。よくぞ言ってくれたと思う。

 

6月の推薦図書 
「羊と鋼の森」 宮下奈都 文藝春秋 1,500円】

 全国の書店員が選ぶ今年の「本屋大賞」作品。北海道の山あいで育った青年が調律という仕事に魅せられ、調律師として、人として成長する姿を描いた作品です。作家は宮下奈都さんという女性です。 初めて彼女の作品を読みましたが読後感が爽やかでした。さすが書店員、よい本を選んでいると思いました。是非、読んで下さい。

 

【6月末から7月の行事】  

 6月29日(水)~7月4日(月)第2回定期試験

 7月11日(月) 生徒総会

 7月12日(火) 防犯講話・避難訓練 

 7月13日(水) 学園祭討議・七夕準備・大掃除

 7月14日(木)~19日(火) 保護者会 

 7月20日(水) 終業式

 7月20日(水)~26日(火) 基礎補習 ・追試

 7月21日(木)~8月23日(火)実力補習・就職補習 

 7月22日(金)~24日(日) 1年、2年、3年リーダーズキャンプ   

 7月27日以降 全国高校総合体育大会 広島、岡山等