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校長通信 響き合う学校 平成28年度1学期終業式式辞

 おはようございます。4月7日の始業式から始まった一学期も今日で終了します。
皆さんにとってどんな一学期でしたか。今日、家へ帰ったら寺部だい先生が願った“夜寝る前に自分の本を読む”を実践して下さい。1学期の1ページ1ページを読み直して下さい。振り返ることはいつも大切なことです。

 今週の日曜日、豊橋球場へ野球部の皆さんの試合の応援にでかけました。吹奏楽部の皆さんや保護者、地域の方々などたくさんの人が応援にきてくれました。たくさんの人と一緒に応援する、選手の人と応援する人が一緒になって団体戦として試合をする、そのことを嬉しく感じました。
 試合の結果は残念ながら1対2で負けました。選手の人は悔しかったと思います。私も悔しかった。応援席の人もみんなそう思ったと思います。
 でも悔しさはバネになります。野球部の皆さんだけでなく、1学期を振り返ると、さまざまな場面で同じような悔しさを味わった人はたくさんいると思います。

 大切なことは、学園の歌にあるように「今、ここから」です。悔しさをバネにして新たな挑戦を「今、ここから」どのように始めて行くか、そこが成長できるかどうかのカギになります。
 運動部に所属している3年生の皆さんは最後の夏を終えた人も多いと思います。しかし、最後の夏を終えても“次のステージでも輝いている”と言えるような毎日を過ごして欲しいと願います。輝く舞台はたくさんあります。輝くためにはいろいろなことに挑戦することです。
 1年生、2年生の皆さんでも部活動を途中で辞めざるを得なかった人も同様です。部活動以外でも輝く場所はたくさんあります。大切なことは舞台にあがること。あがった舞台で思い切り挑戦することです。

 世界は激しく動いています。イギリスのEUからの離脱、アメリカの大統領選挙の行方も注目すべき事柄です。世界はすべて繋がっています。無関係なことはなにもありません。
 ベルギーのブリュッセルで起きた大規模テロ(3月22日)、トルコ・イスタンブールのアタチュルク国際空港テロ(6月28日)、バングラデシュの首都ダッカでのレストラン人質テロ(7月1日)、アメリカ・テキサス州ダラスの警察官狙撃事件、フランス南部ニースでのトラック突入テロ(7月14日)と、恐ろしく悲しい事件が連続して起きています。 
なぜ、このような事件が起きるのか、なぜ、世界は平和でないのか、なぜ、人々は争うのか。ここでも“なぜ、どうして“と思います。
 7月10日に投開票された参議院選挙、本校3年生の人たちが堂々と選挙について語り、投票に出かけている風景が新聞で報道されました。自分の意見を持つこと、そして主張できることは素晴らしいことだと思います。
社会がどうしたらよくなるのか、どうしていくのか、選挙は“未来の社会を考えていくこと”に繋がっていきます。そして日本の選挙でも世界と繋がっていきます。投票という行動が明日の世界、明日の平和をつくっていきます。 

 今世界で起きている大きな事件や紛争を解決するのに必要なものはひとりひとりの賢さです。ひとりひとりが賢くなっていく、賢さへの挑戦が必要になっています。
 人々が幸せになるとはどういうことか、人々が幸せになるために何をすればよいのか。そのためにどんな学びをするのか、どんな力をつけていくのか、将来、どんな形で社会に参加し、貢献していくのか、考えること、イメージすること、想像することが「賢さへの挑戦」に繋がっていきます。
 「賢さの挑戦」の一つとして読書を勧めます。最近読んだ本を3冊紹介します。
 1冊は高校陸上部を舞台にした「タスキメシ」、2冊目はホロコースト(ナチスによるユダヤ人大量虐殺)を生き延びた当時10歳の少年の証言「シンドラーに救われた少年」という本。3冊目は人種差別の激しかった時代、アメリカのハーレムという地域で、黒人のための本屋を書いた「ハーレムの戦う本屋」、という本です。

 「タスキメシ」は高校駅伝、箱根駅伝をめざす高校陸上部の物語ですがクラブをやめて別の道を歩む生徒も描かれています。それぞれに生き方があり、生き方にはいろいろな選択肢がある、部活動の活動で壁にぶつかっている人に生き方のヒントを与えてくれる本です。
「シンドラーに救われた少年」は大虐殺のなかでおこった事実を「ホロコーストで生き残ったもっとも若い少年」が歴史の証人として証言しています。戦争のおろかさを知るよい教科書としても読むことができます。

 「ハーレムの闘う本屋」は黒人解放運動の歴史の勉強ができます。黒人が本を読めない時代は、黒人は本を読まない人たちと思われていました、黒人のための本屋をつくっても誰もこない、といわれた時代状況の中で、本を読まなければダメだ、本を読まないからバカにされる、本を読んで事実を知って、黒人差別と闘うんだ、と著者は主張します、一軒の本屋から黒人解放運動のリーダーが多数育っています。本を読むことの大切さや、本が人を変える力をもっていることもこの本を読むと理解できてきます。

 3冊はいずれも今年の青少年読書感想文全国コンクール高校生の部の課題図書です。本校の図書館にもあります。地元の図書館にも必ずあります。是非、今年の夏は本をたくさん読んで下さい。 
 本を読むことで豊かな毎日が創られていく
 本を読むことで皆さんの賢さが豊かになっていく
 本を読むことで人の心に思いやる、優しい気持ちが育っていく
 本を読むことで、やるべき課題、すすむ方向が見えてくる
 本を読むことで 世界から悲しい争いや紛争がなくなっていく
 「賢さへの挑戦」として是非、本を読んで下さい。
  “なぜ”“どうして”“どうしたらいいのか”本の中から見つけて下さい。

  なぜ  川崎  洋(かわさきひろし)
  なぜ 風は

  新しい割ばしのように かおるのだろう

  なぜ 鳥は
空を滑れるのだろう

  なぜ 夏蜜柑は酸っぱいのだろう

  なぜ 海は

  色を変えるのだろう

  なぜ たった一人の人を愛するようになるのだろう

  なぜ 涙は嬉しいときにも出るのだろう

  なぜ フリュートはあんなに遠くまでひびくのだろう

  なぜ 人はけわしい顔をするのだろう

  なぜ ギターの弦は5本でなく7本でなく6本なのだろう


  なぜ

  なぜ

  なぜ


  そして 人は なぜ

  いつの頃からか

  なぜ

  を言わなくなるのだろう


 他人に優しくできる事、他人を気づかうこと、おもいやり、想像力、そして“なぜ”“どうして”の問いかけ
 が賢さをさらに豊かにしていきます。
インターハイに出場する男女バスケットボール部、陸上部の皆さん、全国大会に出場するゲートボール部の皆さんの健闘に期待しています。全国大会を狙って夏の大会にのぞむ多くのクラブの皆さんの健闘を期待しています。
 東日本の被災地に出かける生徒会、合唱部の皆さん、そして夏休みにボランティアにでかけるたくさんの皆さんの活躍に期待します、最後の夏、勝負の夏にかける3年生の皆さんの学びに期待しています。
 学習に全力投球をする決意をもって補習参加を申し込んだ多くの皆さん、補習は申し込んでいないが今年の夏は学習に全力投球と決意している皆さん、すべての皆さんの学習に、学びに期待しています。「賢さへの挑戦」を合い言葉にして42日間の夏休みを計画的に送ることを期待しています。
                      平成28年7月20日 安城学園高等学校長 坂田成夫