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校長通信 響き合う学校 2016年表彰式式辞

表彰式式辞 

 表彰されたみなさん、おめでとうございます。そして、明日、卒業式を迎える3年生の皆さん、3年間本当にありがとうございました。今朝、小公園でゲートボールの練習風景をみました。3年生にとっては最後の練習でした。卒業式前日として、嬉しくなる、思いがけない風景でした。お年寄りの方が久しぶりによい笑顔をみせていました。想いがお年寄りに伝わっています。

“想いを形に、想いを行動に”今日の式辞のテーマです。

創立者寺部だい先生の卒業式の式辞を最初に紹介します。80歳、今から53年前の式辞です。

(式辞 寺部だい)

『皆さんお目出度うございます。顧みれば希望に満ちた皆様を、お迎えした3年前が昨日のように思われますが月日のたつのは早いもので、もう喜びの卒業の時になりました。

お家のご両親様はじめ皆様のお喜びは如何ばかりかと、ご推察申し上げます。

このはち切れる喜び(喜びがあふれるという意味です)の中に、何か一言お詫びしなければならない薄雲(薄い雲)が、私の心の中を流れます。

(ここで病気をしていて学校を留守にしていたことを詫びます)

〜中略〜

 さて皆様は、各家庭の事情と自己の希望によって進む社会は変わりますが、人として、また女性としての立場には、いずれの社会にも変わりはありません。ことを良く理解して、自分たちの進む社会の平和と幸福を、心から願い求めていただきたいと思います。

 自分自身を大切にするとともに相手の気持ちを尊重して、相手の心を暖め、やわらげて美しい秩序ある社会を築き上げる努力を続けていきたいものです。この心がけが形となって表れますことが、私が在学中常に皆様に注意しましたエチケットの精神であります。相手に対する尊敬と親和の心を失わず、自分は常にへりくだった心持ちで他人の迷惑や邪魔をさける心遣いを忘れぬように心がけて下さい。この心がけの実行が礼儀作法です。従って礼儀は真心が形の上に表れることが大切です。真心を欠いて、唯、形だけをとりつくろったものは虚礼であります。

 (中略)形と心が結びつき、お互いの尊敬や、譲り合いや、心遣いを表現するのに最もふさわしい形が礼儀作法であると思います。この形はその時代、その社会のすべての人に快く受け入れられ、実行されるものでものでなければ、美しい社会をつくる原動力にはなりません。

 エチケットはいつの時代にも、またどんな社会にもけっしてかくことはできません。

巣立ちの日を待つ皆様へのささやかなはなむけともなれば念じつつ。

 形と心が結びつき、お互いの尊敬や、譲り合いや、心遣いを表現するのに最もふさわしい形が礼儀作法であると思います、相手を認め、相手を感じ、相手を思いやる、寺部だい先生の言葉であり、教えです。
“想いを形に、想いを行動に”やるべきことはたくさんあります。学ぶことでやるべきことはみえてきます。
 知ることで思いは形になり、行動になり、行動することで新たな学びにまた繋がっていきます。思いを形にすること、思いを行動にすることが大切です。

 挨拶で言えば、立ち止まって挨拶してくれる生徒さんがいます。すごいなー、と思いますが、形としては非常に気持ちのよい形です。立ち止まって挨拶する、寺部だい先生も必ず実践していた挨拶です。心を形に、想いを形にする、創立者寺部だい先生の大切な教えです。

 卒業生で毎日、朝、玄関を出る時に“真心、努力、奉仕、感謝”と声に出して職場に出ているという話を聞いたことがあります。声に出すことによって、思いになり、行動に繋がっていくと話していました。意識することで行動は変ってくる、とも話していました。そう思います。 
 一人一人の出来ることは限られていますが、想いを形にすること、想いを行動にすることで寺部だい先生も望んだ平和で幸福な社会をつくっていくことにつながっていくことと考えます。

 最後に挨拶に関連した「一秒の言葉」という詩を贈ります。

一秒の言葉 小泉吉宏さん

「はじめまして」この一秒ほどの短い言葉に、一生のときめきを感じることがある。

「ありがとう」この一秒ほどの短い言葉に、人のやさしさを知ることがある。

「がんばって」この一秒ほどの短い言葉で、勇気がよみがえってくることがある。

「おめでとう」この一秒ほどの短い言葉で、しあわせにあふれることがある。

「ごめんなさい」この一秒ほどの短い言葉に、人の弱さを見ることがある。

「さようなら」この一秒ほどの短い言葉が、一生の別れになる時がある 

 一秒に喜び 一秒に泣く。一生懸命、一秒一秒 人は生きています。明日は卒業式、雨の予報もあり、心配しています。どんな天気であってもいい卒業式にしたいと思っています。とっておきの卒業式になるよう2年生の皆さん、準備と応援をよろしくお願いします。

            平成28年2月22日 安城学園高等学校長 坂田成夫