校長通信「響きあう学校」

校長通信 響き合う学校 2015年6月号

H27年6月号

響きあう学校      安城学園高等学校だより 2015.6.24(水)第146号

安城学園高等学校長 坂田 成夫

   露  金子みすゞ

 誰にもいわずにおきましょう。

 朝のお庭にすみっこで、

 花がほろりと泣いたこと。

 もしも噂がひろがって

 蜂のお耳にはいったら、

 わるいことでもしたように

 蜜をかえしに行くでしょう    

【今月の詩人と詩 金子みすゞ】 
 1903年、現在の山口県長門市生まれ。童謡詩人で本名テル。1923年よりみすゞのペンネームで雑誌に投稿を始めます。23歳で結婚するが文学に理解のない夫から詩作を禁じられ、病気、離婚と不幸が続き、1930年26歳で自殺し生涯を終えます。彼女の残した作品は散逸し、いつしか幻の詩人と言われましたが、1980年代に入って児童文学者の矢崎節夫氏の手によって作品が集められ、世に作品が出されました。
 金子みすゞさんの詩は優しさに満ちあふれて詩です。「露」という詩でも、蜂が花の蜜をとっていくのは当たり前の行為ですが、その当たり前の行為をしている蜂に気持ちを寄せ、気遣っています。相手の気持ちを思いやる、そのことの大切さを金子みすゞさんの詩はいつも私たちに教えてくれます。

【弛まぬ努力を続けるということ】
 6月20日(土)、吹奏楽部第55回定期演奏会が刈谷総合文化センターで行われました。12:30分と15:00の2回公演で入場して下さった方は約2400名です。冒頭の挨拶で応援することの大切さ、応援されることの大切さを私は話しました。
 会場では新入生の保護者の方、数人と話しましたが一生懸命やっている姿に感動している方が多くいました。一生懸命やることは本当に大切だと感じました。
 当日、話したもう一つの話は「弛まぬ(たゆまぬ)努力」という話です。生徒たちが奏でる音の美しさは「弛まぬ努力から生まれているもの」だということです。諦めず、努力を続けていけば必ずや豊かな人生に繋がっていくと信じています。定期演奏会での素晴らしい演奏を聴いていると「弛まぬ努力」の大切さを実感します。29日からは第2回定期試験が始まります。「弛まぬ努力」期待します。

【戦後70年 6月23日は沖縄慰霊の日 沖縄の問題は日本の問題です】
 6月23日は沖縄戦の組織的戦闘が終結した日で沖縄では「慰霊の日」になっています。1945年4月1日に始まった沖縄での戦争で日米双方の死者は20万人。うち住民の方が9万4千人亡くなっています。
 そして終戦の日から27年間、沖縄はアメリカの統治下に置かれます。27年間、日本国憲法に守られることもなく、米兵の事件事故も頻繁に起こります。高校野球で甲子園に出場したチームが持ち帰った甲子園の土が「外国の土」として植物検疫法に触れ、海に捨てるという悔しい出来事も沖縄の人たちの記憶に残っています。
 在日米軍の74%の基地は今も沖縄にあります。日本の国土面積0.6%の沖縄になぜ基地負担が集中しなければならないのか、沖縄の人たちの気持ちは痛いほど理解できます。6月23日は沖縄慰霊の日、戦後70年経過した今も沖縄の人たちの悲しみは続いています。沖縄が体験したこと、向き合っている現実を私たちはあまりにも他人事で済ましてきたように思います。これは沖縄の問題でなく日本の問題です。是非、どうすればよいのかをみんなで考えることが必要です。

【18才選挙権 主権者であるという意識を持つこと】
 6月17日の参議院本会議で、全会一致で選挙権年齢の20歳から18歳へ引き下げる法案が成立しました。1945年に25歳以上から20歳以上に引き下げて以来、70年ぶりの引き下げになります。
 世界中をみれば18歳以上に選挙権を付与している国は多く、日本は今まで少数派でした。国の未来を決める投票に多くの世代の人が参加するのは基本的によいことだと思います。ただし、国民に十分考える時間があったかどうか、またはそうした機会をつくることに政治が時間をかけたかどうか、やや戸惑いがあります。政治の手法はともかくとして選挙権を獲得した以上は今まで以上に、世の中の事象を勉強して、大切な一票を行使して欲しいと願っています。この国の未来を創って行くのは一人一人の国民である私たちです。主権者であるという意識をもって自分の投票行動に責任をもつべきだと考えます。

【〜どうせ死ぬなら、このままじゃ駄目と言って死にたい〜瀬戸内寂聴】
 京都市在住で作家の瀬戸内寂聴さん(93歳)が6月18日、東京永田町で開かれた安全保障関連法案に抗議する集会に参加しています。瀬戸内寂聴さんは以前から戦争に反対をする立場を鮮明にしていましたが、今回の集会には病気療養中であるにもかかわらず車椅子で参加しました。寂聴さんは「良い戦争はない。戦争はすべて人殺しです。二度と起こしてはならない」「去年は寝たきりだったが、(法案が提出された)最近の状態は寝ていられないほど心が痛みます。どうせ死ぬなら、このままじゃ駄目と言って死にたい」と集まった人たちに寂聴さん語り掛けました。93歳にしての命の叫びは心にズシンときます。今、私たちがやらなければならないことは何か、問題が山積している昨今の情勢です。

【世界で一番貧しい大統領のスピーチ〜ウルグアイのムヒカ大統領〜】
 1年生の総合学習の授業で2012年にアルゼンチンのリオデジャネイロ会議(環境会議)でのウルグアイのムヒカ大統領のスピーチを紹介しました。難解な言葉もあり、やや1年生には難しいと思いましたが嬉しいことの生徒たちはよくスピーチの内容を読み取っていました。
 生徒たちが印象に残った言葉としてあげたものを紹介します。 
 “貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことです”
 “発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。これらをもたらすべきなのです。”
“私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。”

【6月の推薦図書「天空の蜂」東野圭吾 講談社 2384円】 
 1995年に発表された作品ですが、今年の8月に映画として全国上映されることになっています。物語の舞台は1995年。防衛庁から奪取された最新鋭にして日本最大のヘリコプターが、稼働中の高速増殖炉がそびえ立つ原発上空に現れ、日本全国の原発の停止を求める犯行声明を出す。原発がいかに脆弱か、心から心配になってきます。原発問題を考えるきっかけにもなればと思い推薦します。

【6月の後半から7月の行事】
6月29日(月)~7月2日(木)第2回定期試験   
7月 9日(木) 生徒総会
7月10日 (金)  防犯講話•避難訓練         
7月11日(土) 土曜講座
7月13日(月) 学園祭討議・七夕準備・大掃除 
7月14日(火)~16日(木) 保護者会
7月17日(金) 終業式         
7月17日(金)~24日(金) 基礎補習 •追試 
7月24日(金)~26日(日) 1年、2年リーダーズキャンプ
7月21日(火)~8月21日(金)実力補習・就職補習
7月28日以降  全国高校総合体育大会 関西圏 京都府、和歌山県等